学校での学びを子どもはどう感じてる?家庭学習につながるヒント

家庭学習
Photo by Jerry Wang

子どもが学校に向かう足が重い時、親としては学校の役割に思いを馳せるでしょう。 友達をつくるため?知識を身につけるため?それとも家以外の居場所が欲しいから?その問いに一つの明確な答えはありません。あるとすれば、それは大人の願いを映したものかもしれません。 子どもの答えはきっとさまざまでしょう。

では、子どもたちは学校での学びをどのように捉えているのでしょうか。令和4年に文部科学省が実施した「全国学力・学習状況調査」の結果を見てみましょう。対象は小学校4年生から中学校3年生です。なお記号式のアンケートのため、大人が用意した答えを選んでいる点は考慮する必要がありますが、全体的な傾向は見て取れるはずです。

着目したいのは「子どもたちが学びに必要性を感じているか」と「学習の取り組み方」です。全体で6~7割の生徒が学ぶことが普段の生活や将来につながると感じており、「学ぶことの必要性」を認識していることがわかります。

一方、学習スタイルに関しては「周りと同じペースで学びたい」と考える児童の割合が学年が上がるにつれて減少し、小学校4年生で約40%、中学校3年生では20%弱です。友達と一緒に勉強したいと考える児童の割合も減少し、小学校4年生で約70%、中学校3年生では約半数にとどまります。

これは、学年が上がるにつれて学習内容が高度になることに加え、一般的な発達段階をふまえると知識の体系化や概念の構築を自分の頭の中で行えるようになることも影響していると想定されます。頭の中に作られた概念が違うと、自分に合う学習スタイルや教材に違いがでるのは自然な流れです。

また、学校で学ぶ目的として「点数を取りたい」と共に、「できなかったことができるようになりたい」「新しいことを知りたい」という回答も全体で半数を超えています。

つまり、「新しいことができるようになる快感」や「成果が見える喜び」が、子どもの学校での学びの原動力になっていることが伺えます(大人だって評価されると嬉しいですよね)。

そして最後にもう一つ注目したいのは「友達と話し合うことで、いろいろな考えに気づいたり、自分の考えを見直したりしたいから」という理由です。小学校高学年では約6割が学ぶ理由に挙げているのに対し、中学生では約3割まで下がります。

これも発達に伴って周囲から学びとるというスタイルから、自分で内省して考えることに時間を当てたり、他者の目線をより気にするようになることが結果に影響しているのかもしれません。

まとめると、子どもたちは学ぶ必要性は感じていて、学び方は学年によって傾向が変わってくることがわかりました。学年が低いうちは「一緒に学ぶ」学び方が好まれていて、学年が上がるに伴って自分で考える時間、自分に合った学び方を選びたいと思う傾向が強くなるようです。

では、これらのアンケート結果をどのように家での学びに反映すべきでしょうか。

家庭学習でよくある学習方法に「ドリルの反復」があるでしょう。知識を定着させるには練習は欠かせないものの、一方で一人で取り組むことにハードルがある子どももいることが統計結果からも推察できます。

そこで家庭では次のような工夫ができそうです。

  1. 大人も一緒に問題を解いて、解き方の違いを比べてみる(工夫を発見する等)
  2. 大人も子どもも勉強法を共有しあって、自分に合った方法を探る
  3. お互いの違いを理解・尊重し、楽しめる勉強法や環境を一緒に工夫する

ポイントは「一緒に」「協同して」取り組むこと。 新しいことを知ることに興味がある段階では、これらの工夫も受け入れられることが多いのではないでしょうか。また、親としても「今の解き方・学び方」を知るいい機会になります。

統計情報は、家庭での学びを広げるためのきっかけとなります。大切なのは、そのヒントをもとに会話を重ね、家庭ならではの学びの形を一緒に作っていくことです。

一緒に考えるのが楽しめる時期に、大人の知恵や経験に触れられると、好奇心が刺激される経験になるでしょう。すでに学びたい単元を習得した年長者であれば親でなくても刺激があると思います。

子どもと会話を重ねながら、ともに学びのプロセスを作り上げていく。そのために、親も子どももお互いの意見を新鮮に味わい、家庭学習のスタイルを一緒に作り上げていきましょう。

■参考資料
文部科学省 「義務教育に関する意識に係る調査」
(令和6年3月5日差し替えー参照日2025年9月1日)

  • 佐藤けいこ
    EDICURIA編集部

会社員として働きながら、二児の母として子育て中。大学では生活科学(生理学領域)を学び、現在は通信制大学で心理学を専攻。2025年夏に卒業予定。自身の不調や子どもの行き渋りをきっかけに、「支援と家庭のつながり」に関心を持ち、家庭での関わりと心理学の理論をつなげる実践と探究を重ねている。理論と実体験の両面から、子育てや学びについて考える記事を発信している。