
アルメニアには、10代の多くの若者が通うTUMOという教育施設がある。同センターのIT教育プログラムは、子供たちのみならず、親たちからも高い人気と支持を獲得しているという。
TUMOは2011年に首都・エレバンに開校した。2024年末の段階で2万5000人の学生が学んでおり、卒業生は8万人を超える。TUMOでの教育は無料であり、そのユニークな特徴は学生が自らカリキュラムを設計する点にある。プログラムは芸術やテクノロジーなど14分野にわたり、それぞれ自習・講義・ワークショップで構成されている。
TUMOは複数のアルメニア人コミュニティに設置されており、ネットワークは年々拡大中だ。海外にも支部が開設されており、そこで発生した収益はアルメニア国内のネットワーク拡大に充てられる。パリ、リヨン、ベイルート、ティラナ、ベルリン、チューリッヒ、マンハイム、コインブラなどに海外拠点があり、今後数年間で約20か所まで増加する予定だ。

TUMO は、創設者のサム・シモニアン、シルバ・シモニアン、そしてエグゼクティブディレクターを務めるマリー・ルー・パパジアン、開発ディレクターであるベコール・パパジアンらのアイデアと共同作業によって実現した。
創設メンバーは2つの主な目標を設定した。ひとつは、アルメニアの若者の生活に長期的な投資をすること。もうひとつは世界基準を満たす無料の教育を提供することだ。そして現在、同センターはアルメニアの十代の若者を、21世紀の雇用市場に対応した高度なデジタル専門職に近づけるというミッションも掲げており、居住地を問わず成長できる環境が用意されている。
TUMOのコミュニケーションおよび広報・イベント部門を率いるザラ・ブダギアン氏は、学生の学習意欲を高める環境づくりに注力しているとセンターの方針を強調する。「学生第一」の原則に基づき、運営、教育コンテンツの作成、学生との交流にいたるまで「学生の利益にかなうかどうか」が同センターの判断基準になるという。
TUMOの活動の有効性は、アルメニア国内外の数多くの学生、卒業生、職員によって評価されている。日本の群馬県においても、2025年夏に「TUMO Gunma」の開設を目標に関係者たちが用意を進めているという。オルタナティブ教育の成功事例のひとつとして、日本でもウォッチする価値が高い事例となるだろう。
(EDICURIA編集部)