
本記事では、音読指導アプリをご紹介したいと思います。音読指導のグッズの中にはPECSと呼ばれるものがあります。PECSは自閉性や発達障害などコミュニケーションに困難を抱えた子どもや成人の機能的なコミュニケーションスキルを代替・補助するためにつくられたシステムを指します。日本語では「絵カード交換式コミュニケーションシステム」と訳され、学習者が機能的コミュニケーションを身に付けることを目標としています。
PECSは1985年に、アンディ・ボンディとロリ・フロストによって初めて考案されました。当初、自閉症の未就学児童に実践された後、現在では年齢関係なく、認知、身体、コミュニケーション領域などさまざまな障害を持つ学習者によって実践されています。
今回は、PECSの中でも音読に特化したアプリをご紹介します。
音読指導アプリ(一般社団法人T式ひらがな音読支援協会)

本記事で紹介するひとつめのPECSは、一般社団法人T式ひらがな音読支援協会が提供している「音読指導アプリ」です。
本プログラムは、ひらがなとカタカナをスムーズに読めるようになるための練習プログラムです。利用は指導者と子どもの2人で行います。画面を操作するのは指導者となります。
利用方法は以下の流れとなります。
- 開始後、ひらがな一文字が画面に表示される。少し遅れて読み上げる音声が表示される。
- 指導者は文字が出たら出来るだけ早く声に出して読むよう子どもに教示。
- 音声が出る前に正しく音読出来たら「〇」ボタンを押す。判定は指導者が行う。
- 読めなかったり、間違えたり、音声と重なってしまった時には、正しく音読させてから「▷」ボタンを押して次の文字に進む。
- 同じ文字で3回「〇」の判定になると4回目からはその文字は出なくなる。
※「▷」ボタンは次回の練習するチャンスを残すことだとお子さんに伝えてください。 - 最後の一文字が終わるまで練習を継続。
- 終了時は自動的に「リセット」が実行され次回の練習では初めの状態に戻り全ての文字が表示される。
リセットを数回以上繰り返し、また音声再生までの時間を徐々に短くして行く事で学習効果が高まる事が期待できます。詳細についてこちらのページをご確認ください。
読むトレGO!(医学博士・平岩幹男氏監修)

「読むトレGO!」は、ディスレクシア(文字の読み書きに著しい困難を抱える障害)や読みの学び直しのために開発されたNintendo Switch対応のゲームアプリです。発達障害分野の権威・平岩幹男医学博士の呼びかけたプロジェクトを通じて開発されました。
ディスレクシア、ディスクレシアグレーゾーンに限らず、音読が苦手な子ども、読むのが遅くて悩んでいる子どもにも、読みの学び直しトレーニング効果が期待できるとされています。主な内容は「文字を見て声で答えるトレーニング」「文字をまとまりとして読むトレーニグ」「音を聞いて文字を選択するトレーニング」の3つ。全6ゲーム(227ステージ)用意されています。
読むトレGO!の効果に関しては実証データも公表されています。ディスレクシアの診断(DSM-5thに基づく)を受けた児童10名程度を対象にした実証実験(2回)では、3分2の児童の読みのスピードが20%以上向上したとされています。なお公式サイトでは以下のような使い方が奨励されています。
- 子どもが興味を持った場合、15 分程度を目安で使用。
- 毎日行う必要はない。
- 週2~3回、無理のない範囲で活用。
読むトレGO!の詳細についてはこちらのページをご覧ください。
(EDICURIA編集部)