ホームスクーリングの3メリット「柔軟性」「個人化」「ハイブリッド性」

ホームスクーリング
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2025年現在、米国内でホームスクーリングを受けている生徒数は約370万人と推定されています。これはK-12年生(幼稚園年長から高校3年生までの学年)全体の約6.37%に相当する数値です。

ホームスクーリングの比率が高まった原因は、パンデミックだけでなく、保護者の間で学校環境や公教育の質に対する憂慮が大きくなっている側面もあります。

ホームスクーリングの最大長所は、生徒個人の学習速度に合わせて柔軟に調整できる点です。最適化された学習環境により、子どもたちはより効率的に学業を進めることができます。

ホームスクーリングを受けたある10代の起業家は、8時間におよぶ学校の授業、宿題に割く時間を確保した上で、個人的な日程を消化することがほとんど不可能だったとし、ホームスクーリングに切り替えた後に学業を効率化しつつ、残りの時間を自分の情熱を追求するのに使うことができたと振り返っています。また環境保護活動家として活動中のとある14才の学生は、平日に環境保護関連活動や講演のために授業を受けることができない場合、週末や夜に自分のペースで学習できるとホームスクーリングの柔軟性を高く評価しています。

ホームスクーリングのメリットは柔軟性だけでなく、生徒の学習スタイルに合わせて教育方法を個人化(パーソナライズ)できることです。例えば、学生が視覚的学習に強みを見せる場合、図表やグラフを活用した教育法を中心に実践できます。また、聴覚的な学習に強みを持つ生徒に対しては、討論中心の授業を提供できます。

生徒は自分の情熱と関心事に合う教育を受ける際、学業に対する没入度や学習意欲が自然に高まります。 ホームスクーリングを受けながら非営利環境保護団体を運営するある学生は「パーソナライズされた学習日程のおかげで、団体を運営しつつ、地域社会に寄与できる能力を獲得できた」「環境運動は学業と分離されたものではなく、学業を向上させることで環境運動に役立っている」と話しています。また、現在20人の学生たちにインド伝統ダンスを教えるとある学生は、「8学年の時にオンラインホームスクーリング授業を受けながらインド古典舞踊資格証を取得しダンスに対する情熱を育んだ」とし「運営中のダンスビジネス創業過程も、学業の日程に影響されることなく進めることができた」と説明しています。

ひとつの教育哲学に限らず、多様なアプローチを統合して最適な学習経験を創出できるハイブリット性も、ホームスクーリングのメリットとして注目されています。モンテッソーリ教育、シュタイナー教育やレッジョ・エミリア教育、インフォーマル教育など、さまざまな教育哲学を混合したマイクロスクールがその事例のひとつです。

数学などの科目は構造的かつ順次的な方式で進める一方、文学や歴史のような科目は開放的なディスカッションや創意的なプロジェクト中心にアプローチすることができます。ホームスクーリングを受けた学生たちは、特に読解および言語能力で優れた成果を示しているという研究結果もあります。

公教育に代わるオルタナティブ教育を模索する保護者たちが増加するなか、ホームスクーリングの形式も多様化する傾向にあります。フルタイム親主導教育、ハイブリッドモデル、協同教育、マイクロスクールなど、さまざまな形態のホームスクーリングオプションが登場しています。

(EDICURIA編集部)