
ニュージーランド北東部の都市・タウランガに住む13歳のアメリア・トウィス(Amelia Twiss)さんは、ホームスクーリングを受けていることを理由に、「ノースアイランド中等学校マウンテンバイク選手権」でメダルを獲得することができませんでした。ニュージーランドの学校スポーツ規則では、ホームスクールを受ける生徒の大会参加は許可されているものの、メダル獲得資格は制限されています。
トウィスさんがメダルを逃したのは今年で2年連続です。彼女自身はメダルを獲得できないことは分かっていました。それでも、大会の雰囲気が好きで参加を決めたとコメントしています。
メダルを獲得できる実力があるのに規則によって評価されないという状況は、彼女にとって「非常に気まずい」と言います。周囲の保護者たちからなぜ表彰台にあがらないのか不思議がられると同時に、一緒に走った生徒たちからも気を使われるからです。
トゥイスさんは、他の選手たちがメダルを譲ろうとしていたとも語っています。一般的な学校に通う子供たちも、そのフェアではない状況に不快感を覚えていると言います。
なお同規則には、短期滞在の海外選手や留学生で“スーパーチーム”を結成することを防ぎ、学校代表の公平な競争の場をつくるという目的があります。学校スポーツの公平性を守るという一面が存在するのです。ただホームスクーリングを受ける学生たちにとっては、アンフェアな障壁となっています。
ニュージーランドでは、ホームスクーリングを受ける学生たちが、スポーツイベントに参加できるように少しずつ参加資格や規則が見直されています。現在、2025年5月現在、学校スポーツ大会の公認カレンダーにある140以上のイベントに、ホームスクーリングを受けている学生も参加する資格があります。各地域ではそれぞれのイベントに独自の参加資格基準を設けていますが、一部のポリシーについては、相互かつ全体的に整合を図っている最中です。
またニュージーランドでは、ホームエデュケーターズ・スチューデンツ・スポーツ協会(HESSA)という全国団体が2023年に設立されました。同団体は、ホームスクーリングを受けている学生がスポーツ大会に参加し評価される権利を得られるよう活動・支援しています。
大人の複雑な事情もあると思われますが、子供たちが互いに認め合い、尊敬しあえる包括的かつフェアな規則の拡充が待たれています。なおニュージーランドには2024年7月時点でホームスクーリングを受ける学生が10757人いると報告されています。
(EDICURIA編集部)