
2024年度、小学校6年生の児童数は28万9,291人と前年度より5,300人ほど減少していましたが、受験者数は5万4,700人と横ばい。中学受験率は18.9%と過去最高を連続で更新しました。特に都会部において、中学受験は人気になってきています。
現在、小学生でホームスクーリングをしながら中学受験を考えているご家庭もいるのではないでしょうか。今回はホームスクーラーにおける中学受験のメリット・デメリットを検証します。
中学受験の大部分は私立学校です。国立や公立の学校もありますが、地元の学区内の学校ではないという意味では私立中学に近い側面をもっていますので、同じことと考えていただけます。
中学受験をするということは「学校に通いたい」というご本人やご家族の意思があるからだと思います。その上で中学受験には以下のようなメリット・デメリットが考えられます。
ホームスクーラーにおける中学受験のメリット
1.小学校の同級生とは違う仲間と出会える
小学校で苦手なタイプがいて、ホームスクーリングを選択したという場合、中学受験の志望校は同じタイプの子が集まる傾向にありますので、子どもと相性が合いやすい子が多くいる環境を選択できる可能性があります。
2.好きな学びのスタイルが選べる
例えば、ICTをよく使用する、留学がたくさんできる、というような学び方をしたい場合、私立中学は良い選択肢になるかもしれません。現在は探求学習が多く取り入れられている学校もあります。
3.学びのスピードが選べる
学習が好きで公立小学校の学習スピードだと満足な学習ができない場合、もしくは公立小学校の学習スピードが速すぎてもっとゆっくり授業を受けたい場合、私立中学校を選ぶことで学習スピードが適切な学びの環境を得られるかもしれません。
ホームスクーラーにおける中学受験のデメリット
1.不登校の支援を受けにくい
公的な不登校の支援として、スクールカウンセラー、適応指導教室、スクールソーシャルワーカー、学校内での別室指導などがあります。スクールカウンセラーは私立や国立・公立の学校にも在籍していますが、適応指導教室やスクールソーシャルワーカー、学校内での別室指導は整備されていないところがほとんどです(別室指導はある学校もあります)。
適応指導教室を利用したい、となった場合、利用できることはありますが、学校の先生が慣れていなかったり教育センター(もしくは教育委員会)とのつながりがなかったりするので適応指導教室になかなか行くことができなかったり、そもそも行きたくても行けない地域もあるかもしれません。スクールソーシャルワーカーに私立中からお願いすることは、それよりもハードルが上がる可能性もあります。
2.コストがかかる
私立中学に通学しはじめて、やはり学校に行きづらい・合わなかった気がするとなった場合、通ってないのに授業料を支払う必要が出てきます。お子さんと相談してみて、「体調がもう少しよくなったら通いたい」「学校自体は好きだからまだ籍を残したい」などこれからも通うことに前向きであれば在籍し続けることもよいかと思います。
ただし「やはり通うのは難しい気がする」ということであれば、退学をして公立中学に籍を置いた方が親子ともども楽になるかもしれません。そして、私立中学の場合、欠席が長期になると中学生でも退学となる学校もあります。
本記事ではメリット・デメリットを考えてみましたが、一番大切なのはお子さんが「この学校に通いたい」という想いです。中学受験を選択する場合、学校見学や説明会など希望校を良く知ることからはじめて、希望いっぱいの学校に通える準備をしていきたいものですね。
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- 保田典子
筑波大学医学専門学群卒業。小児科医として国立病院などで診療にあたり、小児循環器を専門に経験を積む。その後、発達障害児を多数担当するようになったことで「子どもの心相談医」の資格を得る。2021年4月、高円寺駅そばに高円寺こどもクリニック開業。