子供の集中&脳の活性化を親が意識する大切さ

幼児教育
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子どもの教育について、私は特別な資格を持っている訳ではありません。ただ、子どもと日々遊ぶなかで意識していることがあります。それを少しだけお伝えさせてください。

ヨガや体操をしている時に、講師の方から「○○を意識して動かしてみましょう」という指示を耳にすることがありますよね。その際、指示された部位に意識を向けて運動を続けていると、該当する部分がポカポカしてくる感覚を味わったことはありませんか?

人の体はとても正直です。食事の後には胃や腸に血液が集まり、運動しているときには筋肉に血液が集まります。それだけではなく、ただ意識を向けるだけでもその部分に血液が集まることを実感できることがあります。そうした現象は子どもにも同じように起こります。

では子どもが今どこに意識を集中しているか、観察してみたことはありますか?
子どもが集中している体の部位には血液が集まり、その部分をコントロールしている脳神経が活発に働きます。そしてその活発な働きが、子供の神経の成長を促します。

例えば、子どもが取り組む遊びをよく観察すると、次のようなヒントが見つかることがあります。

  • 微細な指先の動きなど微細運動に集中している
  • 体全体を使った粗大運動をしている
  • 想像力を膨らませる遊びに夢中になっている
  • バランスをとる平衡機能を鍛えている
  • 好奇心を抱いた対象を真似して模倣力を養っている

すべての遊びには意味があります。子どもが夢中になっている遊びは、その時期に伸ばしたい能力を自ら選んで取り組んでいるのです。例えば、永遠に続きそうなおままごとや戦いごっこも、実は子どもの飛躍的な成長の「芽」を育てているのです。

特に私が好きなのは粘土遊びです。手が汚れるのを気にする方もいらっしゃるかもしれませんが、粘土は触覚や微細運動を刺激してくれるので、成長にとても役立つと感じています。

親の意識が子どもの成長に与える影響

私は親がどこに意識を向けるかによって、子どもの教育の効果が変わってくるのではないかと感じています。

もちろん、子どもが自ら興味を持ち、進んで取り組む活動のほうが効率よく能力が伸びます。親が「伸ばしたい」と考える能力を押し付けるよりも、子どもが夢中になれることを自由にさせてあげたほうが、結果的に能力は大きく成長するでしょう。ただし、そこに親の観察や意識が加わるとさらに効果的です。

例えば最初は子どもが好きなことに集中させてあげて、次の段階で親が意図的に成長を促したい分野とリンクさせて遊ばせるようにする。そのようなステップを踏むことで、子どもの成長を上手くサポートできるはずです。

子どもを一番近くで見ているのは、やはりママとパパです。親が子どもを信じ、支えてあげることで、子どもの成長は加速していきます。特別なことをする必要はありません。まずはお子さんの様子をじっくりと観察してみてください。そのなかに成長の「芽」がきっと見つかるはずです。

  • 保田典子やすだのりこ
    高円寺こどもクリニック院長

筑波大学医学専門学群卒業。小児科医として国立病院などで診療にあたり、小児循環器を専門に経験を積む。その後、発達障害児を多数担当するようになったことで「子どもの心相談医」の資格を得る。2021年4月、高円寺駅そばに高円寺こどもクリニック開業。