ホームスクーリングを隠れ蓑にした児童虐待が社会的問題に。英国では新法を議論

ホームスクーリング_児童虐待
死亡したサラ・シャリフさん(出典:英国警察資料)

ホームスクーリング制度を悪用した痛ましい事件が英国で起きました。公立学校に通っていたサラ・シャリフさんの教師は、彼女の顔にあざがあることに気づき、社会福祉サービスに紹介しました。しかし彼女はホームスクーリングを理由に親に退学させられ、4か月後に自宅の二段ベッドで死亡しているのが発見されました。

父親であるウルファン・シャリフ(42歳)、継母であるベイナッシュ・バトゥール(30歳)は、すでに殺人罪による有罪判決が出ています。また同居していた叔父のファイサル・マリク(29歳)も、有罪判決を受けました。

この事件を受けて、英国では2024年12月末にホームスクーリングの監督を強化するための措置が法案として発表される予定です。同法案は、健康保険番号のような形で子どもに関する関連データを統合し、見落しを防ぐのに役立つだろうとされています。児童福祉と学校法案により、政府は学校に通っていない児童を特定・記録するための登録簿を導入できるようになります。またホームスクーリングを実践する親は、より厳しい監視を受けることになります。

新しい法律では、子どもが児童保護調査や児童保護計画の対象となっている場合、親は子どもを自宅で教育する自動的な権利を持たなくなります。また子どもの家庭環境が不適切または安全でないと判断された場合、地方議会は家庭学習の取り決めに介入。すべての子どもに学校への出席を義務付ける新たな権限も持つことになります。

英国児童委員会(児童福祉を担う政府機関)のデイム・レイチェル・デ・ソウザ氏は、同法案について次のように話しています。

「法案が議会に緊急に提出されていることは、(ホームスクーリングを隠れ蓑にしたDVや犯罪を抑止すること)問題の重要性を示しています。同法案は多くの子どもたちの人生を変える基盤を築くもの。多くの子どもたちは、これまで孤立した行政機関によって無視されたり、隠されたりしてきました。法律が一刻も早く施行されるが何より重要です」

(EDICURIA編集部)