世界で進む不登校の増加 学校離れはなぜ起きているのか

世界で増える不登校
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世界各国で「学校に行かない子ども」が急増しています。いわゆる不登校、あるいは長期欠席と呼ばれる現象は、いまや特定の国の問題ではなく、教育システム全体に関わる国際的な課題として議論されるようになっています。

日本でもその傾向は顕著です。文部科学省の調査によると、2024年度に小中学校で年間30日以上欠席した「不登校」の児童生徒は35万3970人に達し、過去最多を更新しました。これは前年度よりも増加しており、12年連続の増加となっています。10年前と比較すると、人数はすでに倍以上に膨らんでいます。

こうした傾向は日本だけではありません。研究者の間では、コロナ禍以降、世界的に「慢性的欠席(chronic absenteeism)」が急増したと指摘されています。アメリカではパンデミック後、慢性的欠席の児童生徒が650万人増加したと報告されています。

イギリスでも状況は深刻です。イングランドでは2023〜2024年度、**約149万人(およそ5人に1人)の児童生徒が授業の10%以上を欠席する「慢性的欠席」**と分類されました。また、17万人以上の子どもが授業の半分以上を欠席する「深刻な欠席」に該当しています。コロナ前の2018〜2019年度には慢性的欠席は約10.9%でしたが、現在は約20%前後とほぼ倍増しています。

興味深いのは増加の背景にある要因が各国で似ていることです。

第一に挙げられるのは、子どものメンタルヘルスの悪化です。イギリスでは研究者が100万人以上の子どものデータを分析した結果、学校の欠席率が高い子どもほど精神的な問題で医療機関を受診する割合が高いことが確認されています。欠席の増加とメンタルヘルスの悪化は「双方向の関係」にあると指摘されています。

第二に、学校そのものへのモチベーション低下です。アメリカの調査では、慢性的に欠席する理由として、10代の約43%が「学校が退屈」、同じく43%が「ストレスが大きすぎる」、42%が「学校の内容が将来に役立たない」と感じていると回答しています。いじめ(29%)や体調不良(26%)なども欠席の背景として挙げられています。

第三に、家庭環境や社会的要因です。OECDや米国の研究では、貧困、住居の不安定さ、家族の健康問題、きょうだいの世話など、家庭の事情が学校欠席に影響するケースも多いとされています。教育の問題だけでなく、社会構造と密接に関わる現象であるという指摘です。

そうした背景から、各国で新しい教育の選択肢が広がりつつあります。ホームスクーリング、オンラインスクール、マイクロスクールなど、学校以外の学び方を制度として認める国も増えています。

不登校は長らく「問題」として語られてきました。しかし近年では、「学校に通わない」という選択が必ずしも学びの停止を意味するわけではないという認識も広がっています。教育の多様化が進む中で、不登校の増加は単なる危機ではなく、教育の形そのものが変わりつつあるサインなのかもしれません。

(EDICURIA編集部)