
近年、宿題の必要性について賛否が分かれています。賛成派は、宿題を通じて学習内容の定着や自主的な学びの習慣を身につけることができると主張しています。また保護者が家庭で子どもの学習状況を把握する機会にもなるため、子どもの成長をサポートする手段として評価されています。特に、基礎的な計算や読解の反復練習は学力向上に欠かせないという声が多いです。
一方、反対派は宿題が子どもや家庭に過度な負担を強いると指摘しています。長時間の宿題は子どもの自由時間を奪い、ストレスの原因になるとの懸念もあります。また、宿題の内容が必ずしも個々の子どもの学力や特性に合致しておらず、形骸化しているケースもあるとの批判もあります。一部では、宿題を廃止して学校内で完結する学習を推進する動きも見られます。
賛否両論がある宿題問題ですが、我が家にも小学生になった子がおり日々に奮闘しています。子どもに対して「別にやりたくないならやらなくてもいいよ」と伝えることもありますが、本人としてはやらないと納得がいかない様子。いつも真剣に向き合っています。
ただ、宿題をやる中で「すぐに答えを教えて!」と言ってくることもしばしばです。やる気を削ぐことなく、自分で答えを探すトレーニングができないだろうか。私はなるべく直接的に答えを教えず、ヒントを出しながら自分で考えられるように誘導しています。
子どもによって、聞いて理解するのが得意なタイプ(聴覚優位)や、目で見て理解するのが得意なタイプ(視覚優位)がいます。我が家の子どもはどうやら視覚的に情報を捉えるのが得意なようなので、ヒントの出し方を視覚的な工夫にしています。
例えば、計算問題で困っているときには、ダンボールに丸を10個描いて、それを見ながら答えを出せるようにしてあげました。すると、子ども自身もその方法を気に入り、自分で同じやり方を考案して計算問題を進めていくようになりました。集中している姿を見ると、工夫してヒントを出すことの大切さに改めて気づくことができました。
一桁の計算練習にはタブレット学習が効果的
一桁の足し算や引き算は、感覚的にスッと答えが出せるようになることが理想です。そのためには反復練習が重要だと思っています。最近ではiPadなどのタブレット学習が役立つと感じています。視覚的なインターフェースで計算練習を行えるので、子どもにとっても楽しみながら取り組めるのがポイントです。
もちろん、ディスプレイを使う時間が長くなりすぎないように注意していますが、実際には1回の学習時間は短時間で済むので、杞憂だったかもしれません。むしろ、短時間で集中して学べるところがタブレット学習の強みだと感じています。
宿題や学びの時間を通して子どもの特性やペースに合わせた工夫をすることが、子ども自身の「自分でやり遂げる力」を育てるのだと思います。一緒に宿題をしながら、子どもの新しい発見や成長を見守ることが、親としての楽しみでもあります。
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- 保田典子
筑波大学医学専門学群卒業。小児科医として国立病院などで診療にあたり、小児循環器を専門に経験を積む。その後、発達障害児を多数担当するようになったことで「子どもの心相談医」の資格を得る。2021年4月、高円寺駅そばに高円寺こどもクリニック開業。