
ホームスクーリングを選択した子供たちは、どのような事を学び考えるにいたるのでしょうか。本記事では、インドに住むヴァイシュナヴィ・アナンタ(17歳)さんの事例を紹介します。彼女は伝統的な学校教育における授業や暗記学習に耐えられず、ホームスクーリングという新しい試みのために両親に 3 か月の猶予を求めたと言います。
ヴァイシュナヴィさんは1日8時間を学校で過ごしながら、「(いつも)あまり学んだ気がしていなかった」と学校での日々を振り返ります。ホームスクールという選択肢は何年も前から家族内にあったそうですが、新型コロナウイルスによるロックダウンという契機が彼女の背中を押しました。ヴァイシュナヴィは、自分の意見を受けいれてくれた両親に感謝していると言います。
「母は学校教育制度にあまり賛成しておらず、実践的な学習を信じていました。私が伝統的な学校教育を受けている間も、母はYouTubeで新しいことを学んだり、新しい活動に挑戦することを奨励してくれていました」(ヴァイシュナヴィさん)
ホームスクールを始めて5年が経過した現在、ヴァイシュナヴィさんは当時の決断が正しかったと振り返えります。彼女は12歳の時に執筆を始めて以来、インドの過去を重層的に描いた4冊の物語を書きました。ホームスクーリングが文学的才能を確立するのに役立ったと彼女自身は考えています。
ホームスクーリングを選択した後、彼女の両親は厳しいスケジュール管理と規律を課したと言います。テコンドーの有段者である彼女は、早朝に1時間の運動をこなします。そして一般的な勉強を4時間った後、YouTubeで新しい実験について学びました。両親は彼女が学んでいることが、学校教育と遜色がないか常にチェックしたと言います。
ヴァイシュナヴィさんは午後に小説を書き、夕方には遊び、夜はその日のニュースをまとめ読みする習慣を身に付けました。そして、余った時間は自分が得意なことを見つけるのに費やしたそうです。例えば、本のストーリー展開を練ったり、昔のインドの人々の生活様式、食習慣、住居について研究することなどが挙げられます。
「ホームスクーリングを選択することで内向的になったか」という質問に対して、彼女はきっぱりと否定しています。むしろ自分の書いた本を宣伝するために内向的な性格から抜け出す必要を感じたそうで、ブックフェアや講演の機会があれば積極的に参加したと言います。
「ホームスクールは社会化の終わりを意味するとよく言われます。しかし、私はホームスクールを始めてから自身を社会化することに費やす時間が大幅に増えました。学校にいた時よりも友達も増えました」
ホームスクールで学ぶ最も大きなメリットについて彼女は「ライフスキル」を学べることだと答えています。
「両親が決めたカリキュラムの一環として、早起きして運動し、シュロカ(宗教的経典)を暗唱し、洗濯機があるにもかかわらず自分で服を洗っていました。食器洗いや床掃除も手伝うようになりました」(ヴァイシュナヴィさん)
ヴァイシュナヴィさんは、学校に通っている頃は、同級生から評判や先生の期待に応えるために良い成績を取ろうとしていたと振り返ります。一方、ホームスクーリングを選択後には誰かに認められたいという「外的動機」ではなく、自分の中から湧き出る内的動機を軸に行動するようになりました。ヴァイシュナヴィさんは、ホームスクーリング経験を総括し次のように話しています。
「私は好きだから学ぶのです。学びたいから学ぶのです」
(EDICURIA編集部)