「叱る」と「怒る」の違いを意識する...子供を叱るときに注意したい4つのこと

叱り方
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私は医師という仕事柄、在宅時間は増えていませんが、子どもが3人になり大きくなってきてやっぱり叱ることは増えました(汗)。自分への自戒をこめて、効果的な叱り方をお伝えしたいと思います。

まず「叱る」と「怒る」は違います。「怒る」は顔を真っ赤にして怒るなど、自分の感情をぶつける行為で、「叱る」は諭すように言い聞かせるようにすることです。なるべく感情に任せて怒ってしまうより、叱ることで子育てしたいですよね。私も“ついつい”怒ってしまうことがあります。

そう、「怒る」って湧き上がってきてしまう感情で、コントロールできないものと思いがちですが、アドラー心理学では怒ることにも「人は目的があって感情を使っている」と考えています。つまり、私たちは意図的に「怒る」ことを選択しているという考え方です。

この考え方を知ってから、怒ってしまったあとは「“つい”じゃなくて、私はガミガミするって選択して怒ったんだな」と考えるようにしました。

私が子供を怒らない理由とそのコツ

あまり感情的に怒ってばかりだと、子どもの脳が傷つくという研究も出てくるようになって、なるべく怒らないように気をつけています。私のそこまで長くはない子育てライフの中で習得した、怒らないコツがあります。

怒ったときの子どもの様子を見ていると、「悪いことしちゃった」よりも「ママすんごい怒ってる!」ということしか感じていないなとわかりました。注意して同じことを繰り返さないためにも、きちんと子どもにわかってもらえる伝え方をしないとダメだなと感じ、感情的に「怒る」回数が減りました。

親がガミガミ言っても、子どもはすぐには習得できません。ガミガミ言わなくても、何回、何十回と失敗をくり返すことで、子どもはちゃんと覚えてくれます。子どもの学びを待ちたいと思っています。

子どもは(特に)ママのことが大好きです。大好きな人を困らせたくてやっていることではありません。でも、やってしまう。「ママはこういうことされて、悲しい、困る」などを伝えることで、より子どもの心に響くのではないかなと思っています。

私が子供を叱るときに注意している4つのこと

テンパっているときなど、私もついつい怒ってしまいます。その中でも気をつけたいことが4つあります。

返答できないような怒り方を避ける

「何でそんなことしたの!?」のような子どもが答えにくい怒り方をしないようにしています。

否定形を使わないようにする

注意するとき、例えば「走らない!」ではなく、「歩いて」にするなど否定形の言葉を使わないようにしています。でも、これは言い換えできないことも多く、難しいなと感じています。

「ほめるは1秒、叱るは3秒」を意識する

教えてもらった言葉です。ほめるときはすぐに(1秒)、叱るときは3秒待て、という意味です。もちろん、命に関わるようなことはすぐ注意しないといけませんが、それ以外は怒りたくなったら一呼吸(3秒)おくことで、冷静に注意することができます。

主語は「わたし」で伝える

難しいコーチングや子育ての理論はすぐ忘れてしまうので、私はもっぱら「アイメッセージ」と言って、「(あなたは)〇〇しなさい!」「〇〇しちゃダメ!」という“YOUメッセージ”ではなく、「(わたしは)〇〇してほしいな」という“I(アイ)メッセージ”を使うようにしています。簡単に意識できて子どもに伝わりやすい方法なので、ぜひ試してみてください。

  • 保田典子やすだのりこ
    高円寺こどもクリニック院長

筑波大学医学専門学群卒業。小児科医として国立病院などで診療にあたり、小児循環器を専門に経験を積む。その後、発達障害児を多数担当するようになったことで「子どもの心相談医」の資格を得る。2021年4月、高円寺駅そばに高円寺こどもクリニック開業。