甘やかしは悪いこと?書籍『子どもの心の育てかた』が伝えるメッセージ

過保護_過干渉
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子育てに悩む親に役立つ本はたくさなります。児童精神科医・佐々木正美氏の著書『子どもの心の育てかた』(河出書房新社)もまた、私たちに大切なメッセージを伝えてくれる一冊です。本書を通じて伝えられる「子どもを甘やかすことを恐れないでください」という佐々木先生のメッセージは、子育てのプレッシャーに疲弊する現代の親たちにとって心強い救いの手です。

子どもの心の育てかた

本書で繰り返し強調されているのは「子どもは愛されることで良い子になる」というファクト、そして「良い子にしている時にだけ愛情を注ぐのではなく、どんな時にも無条件に愛してあげて欲しい」ということです。親が子どもに注ぐ愛情は、どんな教材や教育方法よりも強力な力を持つものだと気づかされます。

子どもを甘やかすことは、とても勇気が要ることです。現代社会では、子どもに良い教育を与え、将来のために備えることが親の使命とされがちです。しかし愛情を惜しみなく注ぐことと、教育のバランスを取ることは容易ではありません。本書を読み進めるうちに、「今、子どもにとって本当に大切なことは何か」と自問自答させられます。

「過保護」と「過干渉」の違い

佐々木先生は「過保護」と「過干渉」を区別し、後者の方が問題であると述べています。子どもの望む通りにしてあげることが「過保護」であるのに対し、親が「こうした方が良い」と思い込み、子どもが望んでいないことを押し付けるのが「過干渉」です。

また本書では、親が子どもの気持ちに寄り添い、望むことをしっかりと理解する重要性が説かれています。まだ自分の意思を十分に表現できない子どもたちにとって、親に自分の気持ちを伝えるのは簡単ではありません。親が「子どものため」と思ってしたことが、結果的に過干渉になってしまうケースも多いのです。

子育ては時に難しく、迷いもつきものです。本書の言葉を道標にしながら、愛情深い関わりを心がけることで、親子の関係をより豊かに育むことができるはず。悩みすぎず、でも時には自分を振り返る時間を持つ――そんな子育ての在り方を教えてくれる本書は、悩む親たちの必読の一冊になるでしょう。

(EDICURIA編集部)