私の娘は保育園が楽しいみたいですが、何よりも ママが大好きです。「大丈夫?」と心配になるくらい私が一緒じゃないとダメなんです。
(本当は仕事を減らして、もっと一緒にいる時間を増やした方がいいんだろうな)
そう思いながらも、忙しさに追われる日々が続いていました。
新型コロナの影響で保育園が自粛となり、私も家で過ごす時間が増えました。仕事は続けていたものの、これまでより一緒にいられる時間が増えたことで、娘は本当に嬉しそうでした。「ママがそばにいる!」というだけで心から幸せそうな顔を見せてくれる姿に、私も少し安心していました。
そんなある日、娘が言いました。
「おうち飽きた」
保育園に行きたいと言い出したんです。その瞬間、私は「あぁ、やっと“ママ時間”が満たされたんだな」と感じました。きっと、心が十分に満たされて「ママが一緒にいないとダメ!」という状態から一歩進んだのだと思いました。そして、不登校になってしまった子どもたちも、こうやって親子でじっくり心を満たす時間を過ごせれば、一歩前に進めるのかもしれないとしみじみと考えました。
娘はまだ保育園児なので、登園せずともさほど大きな問題はありません。しかし年齢が上がれば上がるほど、学校に通うことが社会的に重要になります。
それでも焦らず、子どもの心を満たしてあげることが何より大切だと思います。親として、そのことを心に留めておかなくてはいけないと改めて感じました。子どもの心を満たすことは、親自身の心をも豊かにしてくれる――。そんな相互作用を忘れずに、これからも娘との時間を大切にしていきたいと思います。
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- 保田典子
筑波大学医学専門学群卒業。小児科医として国立病院などで診療にあたり、小児循環器を専門に経験を積む。その後、発達障害児を多数担当するようになったことで「子どもの心相談医」の資格を得る。2021年4月、高円寺駅そばに高円寺こどもクリニック開業。