
小・中学校の不登校児童生徒数が約35万4千人と過去最多を記録する状況のなか、当事者や家庭が抱える心理的負担を軽減するため、言葉のあり方そのものを見直そうとする動きが出ています。
その一例が、群馬県による呼称の見直しです。群馬県の山本一太知事は、2026年1月15日の定例記者会見で、「不登校」に代わる新しい名称として 「UniPath」(ユニパス)という言葉を使うことを発表しました。知事は、不登校の「不」という響きが否定的なニュアンスを伴い、受け取る側にネガティブな印象を与えがちだと説明。子ども一人ひとりの背景を理解し、多様性を認める前向きな言葉を使いたいという考え方を示しています。
知事の説明では 「UniPath」は「unique」(ユニーク=一人ひとり) と path(道) のイメージを重ねた造語で、「一人ひとりがそれぞれの思い描く道を歩んでいいんだ」という肯定のメッセージを込めたものだとされています。また、この名称は不登校という言葉に違和感をもっていた高校生リバースメンター(知事に政策提言を行う高校生)からの提案で、周知用のチラシ作成もリバースメンターが担うと県側は説明しています。
会見の質疑では、県教育委員会が、群馬県内の不登校児童生徒数は小学生1,783名、中学生2,948名で、近年増加傾向にあると説明しました。さらに、呼称の切り替え時期については「すぐにでも切り替えていきたい、できるところから行っていきたい」としています。併せて、同様に呼び方を変える動きが他県にあるかという質問に対しては「特にそういった話は聞いていない」と答えています。なお、正式表記はアルファベットであることも、会見で確認されています。
一方で、群馬県は「言葉」だけを独立して打ち出すのではなく、相談・学びの場の案内も同じ会見で強調しています。県は「心と学びのサポートセンター『つなぐん』」を設け、電話・来所・メール等で相談を受け付けていることや、3Dメタバース上で学習や活動ができる「つなぐんオンラインサポート(つなサポ)」を開設していることを紹介しました。2025年12月末時点で「つなサポ」利用者が111名にのぼり、その後に学校以外(教育支援センター、フリースクール等)へ移り、それぞれの状況に合わせて学んでいる例にも触れています。
この一連の動きは、「状態を表す言葉が、当事者の自己理解や周囲の受け止め方に影響しうる」という問題意識を、行政が“名称”というかたちで可視化した事例だと言えます。実務面では、県の予算・事業名・周知資料など、行政文書や学校現場のコミュニケーションの中で、どの範囲まで、どの速度で「UniPath」を浸透させるかが焦点になっています。
(EDICURIA編集部)
