愛情不足なんてない”人の子育てに口出しは不要”

愛情不足
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よく「子どもの爪かみやかんしゃくって愛情不足のせい?」と心配するお母さんがいらっしゃいます。他の人からアドバイスを受けて、さらに不安になってしまうこともあるでしょう。

本当の「愛情不足」とは、医学的には「愛情遮断症候群」と呼ばれる状態を指します。例えば、子どもの世話をするときに目を全く合わせず、笑顔を一切見せず、まるで刑務所のように無機的な環境で育てると、子どもの成長に深刻な影響が出ることがあります。身長が伸びない場合もあり、動物実験では命に関わるケースもあります。

でも、そんなことしていないですよね?子どもへの関心や心配を抱く時点で、もう十分な愛情を注いでいる証拠です。

周りの人の意見や他の子どもの様子を見て、自分の子育てを不安に感じることもあるでしょう。アドバイスをくれる人たちは、心配になって意見を言いたがります。ただ最終的に子どもを一番理解しているのは他でもない親です。

そのため人の意見やアドバイスは「参考程度」に捉えましょう。逆に自分が誰かにアドバイスする際も「絶対私の意見が正しい!」ではなく、「こんな考え方もあるよね」と柔らかく伝えることが大切です。

子育てに正解はありません。だからこそ、自分の愛情を信じて、心配しすぎず、親子で少しずつ前に進んでいきましょう。

  • 保田典子やすだのりこ
    高円寺こどもクリニック院長

筑波大学医学専門学群卒業。小児科医として国立病院などで診療にあたり、小児循環器を専門に経験を積む。その後、発達障害児を多数担当するようになったことで「子どもの心相談医」の資格を得る。2021年4月、高円寺駅そばに高円寺こどもクリニック開業。