「旅」や「移動」を学習の一部に...日本ではラーケーションに注目が集まる

旅や移動を学習の一部に日本ではラーケーションに注目が集まる
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世界のホームスクーリングの現場では「旅」や「移動」を学習の一部として捉える実践が静かに広がっています。欧州では家族での長期滞在や文化体験を学習活動として認める例があり、ニュージーランドや北欧諸国でも、自然体験や地域社会との関わりを通じた学びが重視されてきました。共通しているのは、教室に座ることだけが学習ではないという考え方です。子どもが環境を変え、実体験を通じて学ぶこと自体に教育的価値を見出す動きが国際的に広がりつつあります。

世界では「ワールドスクーリング」(worldschooling)と呼ばれる実践も増えています。学校に通わせるのではなく、家族で旅をする中で 旅先の文化や自然、社会といった「リアルな体験そのものを学習」にするアプローチ です。ある家族は、キャンピングカーでオーストラリアをゆっくり移動しながら、移動先で出会った土地の歴史や自然環境、現地の人々との関わりを通じて学びを深めています。他の家族は、世界各国の為替レートを使って算数を学んだり、熱帯雨林での生態系について深く学ぶなど、教室では得られない実体験を教育につなげています。こうしたワールドスクーリングは、世界そのものを「教室」として活用する教育スタイルとして、家庭教育コミュニティでも支持されています。

一方、日本では「ラーケーション」という試みが具体的に始まろうとしています。ラーケーションは、学習(Learning)と休暇(Vacation)を組み合わせた造語で、家庭旅行や体験活動を学校教育と切り離さず、学びとして位置づけようとする考え方です。この発想を制度として明確に打ち出したのが日本の一部自治体や教育関係者でした。特に愛知県では、保護者と子どもが平日に旅行や体験活動を行っても欠席扱いとしない制度を導入し「旅=学習の中断」という従来の前提を覆しました。

例えば、株式会社アットマーク・ラーニングが運営する通信制中等部EuLa(ユウラ)は、文部科学省が示す「ICTを活用した学習の出席扱い制度」および、全国の自治体で拡大するラーケーション(Learning+Vacation)制度を活用し、ホテル、研修宿泊施設、グランピング施設、民宿・ゲストハウス等の滞在中に、メタバース空間で学習できる新しい教育プログラムを開始するとしています。宿泊・滞在施設とオンラインフリースクールが連携する試みで、「旅行=学びの中断」という常識を覆す教育と観光の新しい融合モデルと紹介されています。

日本におけるラーケーションの特徴は、「自由な休み」ではなく「学びとしての外出」を明確に位置づけた点にあります。単なる観光ではなく、事前・事後の振り返りや体験の意味づけを重視する姿勢は、海外の体験学習型教育とも共通しています。また近年では、オンライン学習や通信制教育と組み合わせることで、滞在先そのものを学習環境とする実践も現れ始めています。

世界的に広がる「学びの場所を限定しない教育」という潮流の中で日本版の実践として生まれたラーケーションは、ホームスクーリングや不登校支援とも接点を持ちながら、学び方の選択肢を広げる存在となっていくかもしれません。

(EDICURIA編集部)