【教材紹介】国語の読解力を伸ばしたい『感情のことば選び辞典』ほか

国語の読解力を伸ばしたい時にオススメの本
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「国語のサポート、何から手をつければいいのかわからない……」

漢字の練習や語彙の習得は教えられても、「読解」となると、どう導けばいいのか迷ってしまう。そんな経験はないでしょうか? 答えはわかっているけれど、なぜそれが正解なのかを子どもに論理的に説明するのは、大人にとっても意外と難しいものです。

今回は、そんな大人の「教え方」の一助になり、子どもの読解力を楽しみながら伸ばせる一冊をご紹介します。

そもそも国語のテストは何を問うているのか?

実際に子どものテスト問題を手に取って解いてみるとあることに気づかされます。

国語の問題では単に「出来事」を追うだけでなく、「話の中での気持ちの変化」と、その「きっかけ」を問われることが非常に多いのです。 また「地団駄を踏む」といった行動描写から、その裏にある気持ちを汲み取って正確な言葉で表現することも求められます。

さらに学年が上がるにつれて感情表現は複雑になります。「嬉しい」か「悲しい」かという二択ではなく、「悔しいけれど、どこか清々しい」といった複雑な気持ちの混ざり合いや、怒りの度合いといった同じ感情カテゴリ内での強弱の差を見極めなければなりません。

このように、文章から「感情のニュアンス」を見分ける力は、読解力の要素の一つです。 この「感情の解像度」を上げるのに一役買うのが、今回ご紹介する教材です。

今回おすすめする一冊『感情のことば選び辞典』

『感情のことば選び辞典』が他の語彙本と決定的に違う点は、「言葉を2軸の分布図に配置している」ことです。

感情のことば選び辞典

例えば「怒り」という感情。「激怒」「憤慨」「ムッとする」などの言葉を「感情の強さ(強い・弱い)」 「表に出すか(動)・心に秘めるか(静)」という2つの軸でマッピングしてくれているため、言葉の立ち位置が視覚的に一目でわかります。

この本を選んだ3つのポイント

①直感的なイメージ化

類義語の違いを言葉の説明だけで理解するのは大人でも難しいものです。分布図があることで「あ、この言葉はさっきより怒りの度合いが強いんだな」と、言葉の重みを体感として理解できます。

②「軸」の切り方を学べる

「この感情は強いのか? うちに秘めているのか(静)なのか?」という視点は、そのまま国語の読解における「補助線」になります。テストの選択肢で迷ったときも、「今の主人公の怒りは、表に出ているかな?」と軸で考えると、類似の言葉があっても適切な表現を選択できるようになるでしょう。

③楽しみながら読めるキャラクター設定

挿絵に出てくるキャラクターは、意外にしっかりとしたキャラクター設定があるようで、次はどんな場面が見られるかな?とページをめくるのが楽しくなる工夫がされています。「勉強」と構えずに読める文章量の少なさも、本を読むハードルを下げてくれるでしょう。

併せておすすめする本

お子様の性格や年齢、課題によっては他の選択肢が最適な場合もあります。今回比較検討した3つの教材の特徴をまとめました。

大人向け:描写から感情を導く「引き出し」を増やしたいなら

『感情類語辞典[増補改訂版]』

感情類語辞典

クリエイター向けの本で、特定の感情の時に人がどんな行動(サイン)をとるのかが網羅されています。「この描写はどんな感情を表しているのか」を子どもに言語化して説明する際の、大人のガイドとして役立つでしょう。

中高生〜大人向け:空気感までも読み取る力をつけたいなら

プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑

プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑

感情だけでなく、天候(雨)や色からも「空気感」表現できることを解説しています。特に物語では、天候が登場人物の気持ちを反映していることも多くありますよね。

そういう観点から、感情類語辞典より幅広い表現を目にすることができる構成になっています。ふりがなは少なめですが、マンガやラノベが好きなお子さんなら、装丁からも興味を引かれるのではないでしょうか。

「単語数」を増やしたいなら

『小学生の読解力アップカード1000: 気持ちや様子を説明する言葉・文と文をつなぐ言葉・決まった言い回しの言葉』

小学生の読解力アップカード1000: 気持ちや様子を説明する言葉・文と文をつなぐ言葉・決まった言い回しの言葉

シンプルなカード形式。例文がわかりやすく、まずは基本的な語彙を増やしたい時期に最適です。「本」という形に拒否感がある場合でも、カードなら手に取りやすいというメリットがあります。

気持ちをあらわす語彙が増えると「心」が落ち着く

ホームスクーリングにおいて国語を学ぶ意義は、試験の点数だけではありません。 自分の心の中にある「モヤモヤ」に適切な名前(言葉)をつけられるようになることは、精神的な安定や自己理解にも深く関わっています。

『感情のことば選び辞典』のように、感情を「強弱」や「方向性」で捉える習慣がつくと、自分自身の感情も客観的に見つめられるようになってきます。実際にカウンセリングの現場でも、感情を数値化したり可視化したりするアプローチが取られることがあります。

「悲しい」の代わりに「切ない」と言えるようになる。「怒っている」の代わりに「もどかしい」と言えるようになる。 こうした語彙の広がりは、不安を減らすことにもつながるでしょう。

まずは、親子でパラパラとイラストを眺めるところから始めてみてはいかがでしょうか。

  • 佐藤けいこ
    EDICURIA編集部

会社員として働きながら、二児の母として子育て中。大学では生活科学(生理学領域)を学び、現在は通信制大学で心理学を専攻。2025年夏に卒業予定。自身の不調や子どもの行き渋りをきっかけに、「支援と家庭のつながり」に関心を持ち、家庭での関わりと心理学の理論をつなげる実践と探究を重ねている。理論と実体験の両面から、子育てや学びについて考える記事を発信している。