
米ニューヨーク州では、約9割の学区で公立学校の生徒数が減少しているとされています。これはコーネル大学が発表した最新の調査で明らかになったもので、2013〜2014年度から2023〜2024年度までの在籍者数データをもとに分析された結果です。一方で、公立学校以外の学びを選ぶ家庭は増えつつあります。ニューヨーク州でホームスクーリングを行っている生徒の割合は1.8%と少数ではあるものの、10年前と比べるとその割合は2倍に増えました。また、チャータースクールの在籍率も6.5%まで上昇しており、こちらも過去10年で倍増しています。
こうした公立学校の生徒数減少について、多くの場合は新型コロナウイルスの影響が原因として語られがちですが、調査に携わったコーネル大学の研究支援専門家レスリー・レイノルズ氏は、より長期的な人口動態の変化が背景にあると指摘しています。出生率の低下や出産年齢の上昇によって、生まれてくる子どもの数そのものが減少しており、同時に高齢化も進んでいます。人口の変化は、出生・死亡・移動のバランスによって成り立っていますが、学齢期にあたる子どもの数が少ない地域では、転入などで補われない限り、幼稚園から高校までの生徒数も自然と減少していきます。ニューヨーク州で起きている公立学校の在籍者数減少は、こうした州全体の人口構造と深く結びついた現象だと考えられています。
加えて今回の調査で注目されているのが、チャータースクールとホームスクーリングの増加です。なぜ保護者が公立学校以外の選択肢に目を向けるようになったのかについて、レイノルズ氏は明確な原因を一つに絞ることは難しいとしながらも、学びの選択肢が広がったことが大きな要因だと話しています。
近年は、在宅学習やオンライン学習、ハイブリッド型の学習など、従来とは異なる学び方が一般化してきました。チャータースクールも増え、公立学校では提供されていないカリキュラムやプログラムを選べるケースもあります。こうした環境の変化によって、家庭ごとに合った教育を選びやすくなったことが、公立学校以外の進路を選ぶ動きにつながっていると見られています。
また米国では「学校選択」(スクール・チョイス)が政治的なテーマとして語られる場面も増えています。政治的な言説が保護者の判断に影響しているかどうかを研究の立場から判断することは難しいものの、学校選びが家庭の価値観や社会的背景、考え方と密接に関わっていることは確かだとされています。言い換えれば、教育の行き先を選ぶ主体性そのものがここ数年で高まってきているとも言えそうです。
なお同報告書では、ニューヨーク州全体の高校卒業率についても分析されています。卒業率は過去12年間で徐々に上昇しており、2013〜2014年度の79%から、2023〜2024年度には86.3%まで伸びました。性別で見ると、女子の卒業率が一貫して男子を上回っており、男子は約77%から82%へ、女子は83%から約90%へと上昇しています。全体として改善が見られる一方で、男女差は継続していることが分かります。
今回の調査は、ニューヨーク州において公立学校の生徒数が減少する一方で、ホームスクーリングやチャータースクールといった多様な学びの選択肢が広がっている現状を示しています。これは一時的な変化ではなく、人口構造や社会の変化と結びついた、長期的な流れとして捉える必要がありそうです。
(EDICURIA編集部)
